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蓄電池について
2023.6.5

蓄電池の画像

落雷やトラブルによる停電により突然使っていたPCの電源が落ちた時、再度起動するとデータが消失したという経験を持つ人はたくさんいるのではないでしょうか。
電気は現代を生きる私達にとって必要不可欠なものです。パソコンや大規模なシステムは停電し、電力供給が途絶えると、機能しなくなり、病院でも落雷や停電が起こってしまうと生命の危機につながることとなります。

電気を貯蓄しておき、いざとなったら給電する事ができる蓄電池は非常時に大活躍することでしょう。災害時にパソコンを誤作動させることなくシャットダウンさせる働きを持つUPSや省エネ・省CO2にも関係のある太陽光発電と蓄電池設備を国は推奨しており、補助金などの制度を整えています。蓄電池の導入はこれから増々企業にとって重要なBCP対策となってくるでしょう。また、企業は災害への備えをするためにも、蓄電池とは一体何なのかを知る必要があります。
以下では、蓄電池に関して説明していきたいと思います。

蓄電池の種類について

電池には一次電池と二次電池の二種類あります。
一次電池は一般的な単三電池のことで、放電すると再度使うことはできない使い捨ての電池のことを指し、二次電池は充電すれば何度も使用可能な電池のことを指します。蓄電池も、充放電可能な二次電池の一種です。

蓄電池は、スマホのバッテリーや電気自動車などにも使われており、身近に存在しています。自家発電で余った電力を貯めて使うこともでき、とても効率が良く、太陽光発電と連携することで昼間貯めた電力を夜間に使う事も可能になります。容量が様々で、一般家庭用の小容量のものからオフィス用の大容量のものまであります。気をつけなければならないのは、蓄電池にも寿命があるので、なるべく長寿命の蓄電池を選択しましょう。
また、大容量の蓄電池として、大規模な産業蓄電池が挙げられますが、産業用蓄電池を設置する場合は、比較的広い設置スペースが必要になりますので、その点も考慮する必要があります。

蓄電池の電池の種類は5種類あります。以下に一つ一つ説明していきます。

鉛蓄電池

ガソリン車に搭載されていて、エンジン起動の際に使用されます。鉛蓄電池は、比較的コストが安く済み、幅広い温度範囲で動作するため、様々なシーンで使用されるのが特徴です。
鉛蓄電池は、寿命が長いことが大きな特徴で、約17年もつといわれています。また、他の種類よりも安価で導入しやすい点がメリットとして挙げられます。産業用蓄電池の中では最もシェアが大きい蓄電池です。デメリットとして、本体のサイズが大型であることが挙げられ、広い設置スペースの確保が必要となります。

ニッケル水素電池

リチウムイオン電池が世に出るまではモバイル機器のバッテリーとして使用されていました。電池の構成として、マイナス極に水素吸蔵合金、プラス極にオキシ水酸化ニッケル、電解液に水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液を使用しています。1kWごとに10万円と少し高いですが、集電や放電が非常に強く、急速充放電が可能というメリットもあります。課題としては、自然放電で容量が減少することと、寿命が5年から7年と短めであることです。また、「メモリー効果」という、放電中に電圧が低下する現象が起きることもデメリットとして挙げられます。

リチウムイオン電池

家庭用・産業用蓄電池として用いられています。現在、ノートパソコンや携帯電話などのモバイル機器のバッテリーに用いられている電池です。サイクル数35,000回、6~15年と比較的長い寿命ですが、1kWごとに20万円とコストが高いことがデメリットとして挙げられます。リチウムイオン蓄電池は、小さくて軽く、小型サイズで、コンパクトなことが特徴です。ビルの一角のオフィスや、小規模の事業所など、設置スペースが限られた企業でも導入が可能です。

NAS電池

日本ガイシ株式会社で製造されている、大規模電力貯蔵施設、電力負荷平準化、再生可能エネルギーを解決する装置として非常に注目されている蓄電池です。
NAS蓄電池は15年程度の長寿命が最大の特徴です。また、鉛蓄電池よりもエネルギー密度が3倍高く、同じ容量でも設置スペースが3分の1になるコンパクトさもメリットと言えます。ただし、NASにはナトリウムや硫黄など、危険物が使用されているため、NASと水が反応して燃焼を起こすリスクがあるので、周辺設備の管理も慎重に行わなければなりません。

レドックスフロー電池

これからの未来に期待される電池です。再生可能エネルギー拡大のため、電力関係者から非常に期待され、注目されています。イオンの酸化還元反応によって充放電を行う電池であり、システムは20年の耐久性があり、発火性のない材料を使うので常温運転が可能です。

家庭用蓄電池と産業用蓄電池

蓄電池には大きく分けて家庭用と産業用があります。家庭用蓄電池と産業用蓄電池では容量に大きな違いがあります。どちらもそれぞれ導入費を抑えることができる補助金があります。

家庭用蓄電池

家庭用蓄電池の容量は1~15kWhまであり、最近は大容量化が進んでいると言われています。寿命やサイクル数はメーカーによって異なり、平均3,500回程で、約10年です。

家庭用蓄電池とは、災害の時などに備えて電気を充電して貯めておき、必要なときに電気を供給することが可能な設備のことです。家庭用蓄電池に貯める電気は大きく2種類に分けられます。1つ目は電力会社から買った電気、もう1つは太陽光発電などで作り出した電気です。

電力会社の電気を貯める場合、夜間の電力量料金単価が安い料金プランに加入している場合、夜間に蓄電池に電気を貯めておき、反対に料金単価が高くなる日中に利用するなどの工夫ができます。太陽光発電で電気をつくる場合は、設備の設置コスト・メンテナンスコストがかかりますが、環境にやさしく少ないCO2排出量で済む他、長期的な視点で見れば経済的であると言えます。そして、蓄電池を太陽光発電と併用することで、さらに経済性を高めることができます。蓄電池は、BCP対策だけでなく、省エネも実現可能な優れた機器です。

産業用蓄電池

産業用蓄電池の容量は十数kWh~20kWhです。寿命はサイクル数に比例し、長くなってきています。サイクル数は8,000サイクルを超える高性能タイプもあります。一般住宅以外の建物の工場や公共施設、オフィスビルや事務所、コンビニ単体から大きなものではショッピングモールなどの商業施設などに設置する蓄電システムのことをいいます。

家庭用蓄電池がそうであったように、産業用蓄電池も東日本大震災をきっかけにその必要性が叫ばれるようになりました。従って蓄電池の主な用途は、自然災害等による広域停電の際に必要なバックアップ電源ですが、蓄電池はそれだけに留まらず平常時には電気料金を削減し、一時エネルギー消費量もコントロール(つまり”省エネ”)します。更に太陽光発電などの再エネ機器との連携で、省エネ効果は飛躍的に高まるため、システムを導入できるところは他に先んじてこれを進めている状況です。

リチウムイオン電池が注目される理由

リチウムイオン電池は、比較的に安全性に優れており、コンパクトなサイズで、寿命も長寿命であり、総合的な性能のバランスが最も蓄電池に適しているので、蓄電池を導入する企業間でも注目されています。
このような理由から、企業用蓄電池だけでなく住宅用蓄電池にも多く採用されています。しかしながら、鉛蓄電池は寿命が短いといったデメリットがあり、NAS電池は大型で家庭用としては非常に広い設置スペースが必要となるため、気軽に設置できないというデメリットがあります。

リチウムイオン電池は、正極・負極・電解質に使用する化学物質の違いから「コバルト系」「ニッケル系」「マンガン系」「三元系」「チタン酸系」「リチウムポリマー系」「リン酸鉄系」「NCA系」等に種類が分かれています。その中でも、安全性が高く、コストパフォーマンスにも優れた「リン酸鉄系」「NCA系」「三元系」の3種類がよく蓄電池に使用されています。

リチウムイオン電池の安全性について

蓄電池に使用されるリチウムイオン電池は、正極にリチウム含有金属酸化物、負極にグラファイトなどの炭素材、電解液に有機電解液が採用されています。リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いので高いパフォーマンスが期待でき、高速充放電が可能です。さらに、自然放電が小さく済むという特徴があります。このことから、長期間充電せずに放置しても、充電した電力を長期間保存することができ、非常に効率的に蓄電池を利用することができます。また、充放電の繰り返しにより寿命が短くなるといった影響も少なく済みます。

しかしながら、リチウムイオン電池のデメリットとして、リチウムイオン自体は反応性が非常に高いことから、空気に触れただけで空気中の窒素と反応して窒素リチウムが生成されるリスク、水とも容易に反応して燃焼するリスクがあります。これらのことから、消費者庁では、リチウムイオン電池を落としたり、強い衝撃や圧力を加えることのないよう注意喚起がされています。

リチウムイオン電池は、蓄電池だけでなく、ノートパソコンやスマートフォンなどにも用いられ、身近にありますが、その中にも種類があり、危険度も大きく異なります。特にコバルト系やポリマー系 、三元系のリチウムイオン電池は、過去に爆発や発火事故が起こり、社会問題にもなりました。一方、リン酸鉄リチウムイオン電池はエネルギー密度が低く、過充電・過放電状態になっても爆発しない特徴があり、より安心して使用することができます。
低温環境での使用も可能であり、寿命が約10年と長期使用もできるので、幅広いシーンで活用されています。また、鉛二次電池の自己放電率は月に約20%となりますが、リン酸鉄リチウムイオン電池は月に1%なので、長期間充電せずに保管しても充分な電力を蓄えておくことが可能です。
蓄電池を購入する場合は、安全性の高い種類のリチウムイオン電池を選びましょう。

まとめ

以上、蓄電池について説明していきました。

近年、これまで経験したことのないような災害が増え、企業の間でもこういった災害時でも業務を継続させる努力をすることが必要となってきています。したがって、災害時でも業務を最低限継続し、社会活動を行えるように、BCP対策を行いましょう。
災害時でも周りと連絡が取れるように、サーバー、スマホ、PCの充電に欠かせない蓄電池の導入を、是非検討しましょう。蓄電池の中でも、リチウムイオン電池は、高速充放電が可能であり、自然放電が小さいというメリットがあります。
蓄電池を導入する際は、高いパフォーマンスが期待できる、リチウムイオン電池がおすすめです。

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